この記事では、第134回直木賞を受賞し、2006年本屋大賞4位を獲得し、映画化もされた東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』を紹介します。
福山雅治さんが主人公湯川を演じるテレビドラマ『ガリレオ』の映画版として有名ですよね。
この物語を読んで、私は次のことを思いました。
読後は私に強烈な印象を残し、しばらく本の世界から抜け出せないほど余韻が凄かったです。
そんなこの本を読んだ感想と名言をまとめました。
この記事を本選びの参考にしていただければ幸いです。
『容疑者Xの献身』について
タイトル | 容疑者Xの献身 |
著者 | 東野圭吾 |
出版社 | 文藝春秋 |
発行日 | 2005年8月25日 |
ページ数 | 335P(電子書籍) |
ミステリー小説といっても、いろんな角度のものがあるのだということをつくづく感じさせる本でした。
犯人は最初からわかっています。
それなのに、全く予想もしていない事実が隠されていたことに驚きました。
読者も石神の仕掛けたトリックにまんまと引っ掛かってしまう、そんな物語です。
著者について
著者である東野圭吾さんのプロフィールです。
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。
1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、
2006年『容疑者Xの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、
2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、
2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、
2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞、さらに国内外の出版文化への貢献を評価され第1回野間出版文化賞を受賞。
引用:『容疑者Xの献身 (文春文庫)』(東野 圭吾 著)
東野圭吾さんはミステリー小説家として、とても有名な作家さんですね。
私も作品を何冊も読みました。
とても読みやすいので、スラスラあっという間に読破してしまいます。
本作品もそうでした。
何を読もうか悩んでいるときに、東野さんの作品を選べば間違いないと言える作家さんだと思います。
『容疑者Xの献身』のあらすじ
天才数学者でありながら、やりがいや生きがいもなく高校教師をしている石神。
石神は隣人である靖子にひそかに想いを寄せ、靖子が働く弁当屋で毎日弁当を買っていた。
そんなある日、靖子の部屋で殺人事件が起きる。
石神は頭脳をフル稼働し、靖子と娘の美里を救うため、完全犯罪にしようと計画する。
見どころ
私が考える本作品の見どころは次のとおりです。
石神の仕掛けは、私の想像をはるかに超えるトリックでした。
そして、そこまでのことをした石神の想いに身震いしました。
トリックと石神の想いがキーワードになります。
『容疑者Xの献身』を読んだ感想と名言
それでは本作品を読んだ感想と名言を紹介していきます。
2人の天才
物理学者である湯川と数学者である石神。
大学の同窓生で2人の天才が登場しました。
天才であるがゆえに強烈な個性を持ち、お互いを認め合っている同志。
この男以外に自分を理解してくれる者はおらず、また自分が対等の人間として認められる者もいなかったのかもしれない、と湯川を見ながら石神は思った。
引用:『容疑者Xの献身 (文春文庫)』(東野 圭吾 著)
湯川も同じ気持ちで、唯一無二の好敵手だと言っています。
石神のことを湯川がよくわかっているから、このような結末になったのだと思いました。
それにしても、天才には天才の生きづらさがあるんですね。
人にわかってもらえない分、孤独が深いのだと思いました。
思い込みは敵
石神のトリックの目的は、警察を思い込みの世界にがんじがらめにすることでした。
でもそれは何事にも通じている、と思いました。
物性論の試験だからといって、ほかの理論は無用だと決めつけるな。それではいい学者になれない。
思い込みはいつだって敵だ。見えるものも見えなくしてしまうからな。
引用:『容疑者Xの献身 (文春文庫)』(東野 圭吾 著)
思い込みは、見えるものを見えなくしてしまう。
思っているようにしか見えなくなる。
目がくらんでしまうんですね。
これまでの経験から、今回もそうだろうと考えることは当たり前のことだと思います。
そこで本当にそうだろうか、と一旦立ち止まって考える余裕が必要なんでしょうね。
それでも、石神の考えた巧妙なトリックからは逃れることはできないと思ってしまいました。
石神の愛情表現
男女の間に下心を介さない、無償の愛なんてあるわけないと思ってきました。
でも石神の愛こそ無償の愛だと思いました。
自分が守らねばならない、と石神は改めて思った。
自分のような人間がこの美しい女性と密接な関わりを持てることなど、今後一切ないに違いないのだ。
今こそすべての知恵と力を総動員して、彼女たちに災いが訪れるのを阻止しなければならない。
引用:『容疑者Xの献身 (文春文庫)』(東野 圭吾 著)
靖子・美里親子を救う手立てに愛情があふれていました。
嘘や演技では、ほころびが出てしまう。
なので、警察に事実だけを言えばいいように仕向けました。
石神が仕掛けたトリックの数々。
そこまでやるのか、と同時に、そこまでこの親子のことを想っているのか、と。
見返りを期待しない、ただ幸せになってほしい一心で。
あまりにも純粋すぎる、とも思ってしまいました。
人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。
引用:『容疑者Xの献身 (文春文庫)』(東野 圭吾 著)
靖子は石神になぜそこまで想われるのかわかりませんでした。
お隣さんで、お弁当屋のお客さん。
靖子にとっては、それだけの人でした。
でも石神にとっては違っていたんですね。
健気に生きる姿が、人に希望を与えたり元気づけたりすることがある。
直接的に何かしなくても、人を救うことがあるということを考えたこともありませんでした。
そして本作品は、救われた石神の恩返しの物語とも言えます。
石神の想いこそ無償の愛だと私は思いました。
最後に
第134回直木賞を受賞し、2006年本屋大賞4位を獲得し、映画化もされた東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』を紹介しました。
石神が仕掛けたトリックと石神の想いに驚き、身震いする物語です。
まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。
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映像化された作品をまとめた記事があります。
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