この記事では、2020年本屋大賞第2位を獲得した小川糸さんの作品『ライオンのおやつ』を紹介します。
あと少しで自分の命の終わりを迎えるとしたら、死ぬ準備はできているでしょうか?
『ライオンのおやつ』は余命宣告されたまだ33歳の女性が、自分の生と死に向き合う物語です。
この本には、人生を考えさせられる名言がたくさんありました。
その中から、特に心に刺さった名言5つと感想をまとめました。
ネタバレも含みますので、まだ読んでいない人はご注意ください。
- 本屋大賞に興味のある人
- ホスピス、終末医療に興味のある人
- 生きることに悩んでいる人
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『ライオンのおやつ』という本について
タイトル | ライオンのおやつ |
著者 | 小川糸 |
出版社 | ポプラ社 |
発行日 | 2019年10月10日 |
「ライオンのおやつ」というタイトルにまず心惹かれますね。
思わず手に取ってしまいます。
著者について
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著者である小川糸さんのプロフィールです。
1973年生まれ。
引用:糸通信
デビュー作 『食堂かたつむり』(2008年)以来30冊以上の本を出版。
作品は英語、韓国語、中国語、ベトナム語、フランス語、スペイン語、イタリア語など様々な言語に翻訳され、様々な国で出版されている。
『食堂かたつむり』は、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞した。
またこの作品は、2010年に映画化され、2012年には『つるかめ助産院』が、2017年には『ツバキ文具店』、2020年には『ライオンのおやつ』がNHKでテレビドラマ化された。
『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』そして『ライオンのおやつ』は、日本全国の書店員が主催する「本屋大賞」候補となった。
最新作は、『とわの庭』(新潮社)。
エッセイや絵本なども含めて著作は多数あります。
映画化やドラマ化されている作品もあるようですが、私は観たことはありませんでした。
『ライオンのおやつ』のあらすじ
がんを患い、余命宣告された海原雫。
残された日を、暖かい場所で毎日海を見ながら過ごしたいと、瀬戸内のレモン島にあるホスピス「ライオンの家」に入居することに。
そこでは入居者が日曜日に、もう一度食べたい思い出のお菓子をリクエストできる「おやつの時間」があった。
見どころ
「ライオンの家」と周囲の人々の温かさ。
おいしい食事、おいしいおやつ、おいしい空気。
心地よい快適なベッド。かわいい犬の六花(ろっか)。
体だけでなく心の痛みも和らげるセラピー。
残された日々を過ごすのにこれ以上ない環境で、自分の命に向きあう姿が見どころとなります。
名言5選と感想
![「超いい感じ。」というお姉さんのイラスト](https://zaki-style.com/wp-content/uploads/2023/09/22762637-300x270.jpg)
『ライオンのおやつ』にはたくさんの名言が出てきました。
どれもこれも紹介したいのですが、その中でも特に私の心にグッときたものを紹介します。
思い通りになることなんてない
ワイン作りをするようになってから、 自分の思い通りになることなんて、ほとんどないんだなって気づかされたというか。 腹を立てて怒ったところで、相手を傷つけるだけだし、 自分も疲れるし、いいことないよね。
『ライオンのおやつ』小川糸 電子書籍 P73
雫の最後の恋の相手、タヒチくんの言葉です。
怒るってとてもエネルギーが必要ですよね。
私は若いときは瞬間湯沸かし器でしたが、アラフィフになった今は、怒る元気もないってことがよくあります。
「相手を傷つけるだけだし」という言葉が、タヒチくんの優しさを表してると思いました。
自分に怒れば自分を傷つけ、人に当たれば人を傷つけます。
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思い通りにならないことを怒っても仕方ないんですよね。
せっかく生きてるんだから
せっかく生きているんだからさ、 おいしいものを笑顔で食べなきゃ。
『ライオンのおやつ』小川糸 電子書籍 P88
入居者の一人「マスター」の死を見て不安になった雫。
温かいおでんを泣きながら食べていた雫に対する、料理担当のシマさんの言葉です。
慰めるでもなく、歯にのりを付けてニッとして、雫を笑わせた後に言いました。
おいしいものが食べられるのは生きているから。
おいしいものをおいしいと感じられるのも生きているから。
生きていることに感謝して、おいしいものを噛みしめながら笑顔で食べるようにしたいと思いました。
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笑顔で食べた方が、栄養も体にいきわたりそうですね。
笑うから楽しくなる
人はな、楽しいから笑うんやないんやて。 笑うから楽しくなるねん。
『ライオンのおやつ』小川糸 電子書籍 P121
雫がヨガ教室で一緒だった関西出身の友人の言葉です。
この物語には「笑顔」という言葉がたくさん出てきます。
マドンナも、とにかく笑顔でいることが一番大事、と言う。
雫も、最後まで笑顔でいることを目標とします。
楽しくなくても口角を上げる。
すると気分が上がってきます。
楽しくなくても笑うと、免疫力もアップすると聞いたことがあります。
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笑顔は幸せの源なのだと思います。
今が幸せならそれでいい
今というこの瞬間に集中していれば、 過去のことでくよくよ悩むことも、 未来のことに心配を巡らせることもなくなる。 私の人生には、「今」しか存在しなくなる。 そんな簡単なことにも、ここまで来て、 ようやく気づいた。 だから、今が幸せなら、それでいい。
『ライオンのおやつ』小川糸 電子書籍 P182
会いに来てくれた父と妹に、キレイな景色をプレゼントしたくて、六花も一緒に葡萄畑に出かけます。
雫は体が思うように動かないだけでなく、声も出なくなっていました。
葡萄畑からの景色、外の心地よい空気、その場所にもう会うことのない父と妹、そして六花といるときに、雫が思ったことです。
今、この瞬間が幸せであればそれでいい。
死を目前にしていなくても、人生の中にはそのような瞬間が幾度か訪れます。
今さえ良ければいい、とは違う。
今この瞬間をかみしめていたい。忘れないでいたい。
今より前のことを悩んでも仕方ない。 今の連続が未来につながるんですね。
![ざきざき](https://zaki-style.com/wp-content/uploads/2023/08/hukidassi.jpg)
今この瞬間を大事にしたいと思いました。
生きている限り
人は生きている限り変わるチャンスがある。
『ライオンのおやつ』小川糸 電子書籍 P118・188
入居者である「先生」が、訪ねてきてくれた別れた妻に当たり散らしているのを見た、マドンナの言葉です。
その時マドンナは、先生が変わることを期待していました。
そして、実際に先生は自分の過ちに気づき、変わりました。
それを見た雫は、このマドンナの言葉を思い出します。
自分に対しても他人に対しても、人は変わらない、と諦めたらダメなんですね。
生きている限り変わるチャンスがあります。
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この言葉を忘れないでいたいです。
最後に
ピークエンド、終わりよければすべてよし、です。
余命を宣告されて、死ぬまでの準備期間があるとは限りません。
明日死んでもいいように、いつも準備万端でいようと思いました。
心に溜まったものは吐き出して、面白くなくても口角を上げて、人には礼儀をもって接する。
心や体が不調の時もあるので、難しいときもありますが、できる限りそうしたいです。
『ライオンのおやつ』は、自分がどう生き、どう死にたいかを考えるきっかけとなりました。
皆さんにもぜひ読んでいただきたいです。
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小川糸さんの本に興味がある人は『ツバキ文具店』もぜひ合わせてどうぞ。
『ライオンのおやつの』ように心温まる本が読みたい人はこちらも参考にしてください。
『ライオンのおやつ』はドラマになっています。
アマゾンプライムで視聴できますよ。
アマゾンプライムで観るならこちらから