【感想】『そして、バトンは渡された』どこまでも優しい物語

本屋大賞
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この記事では、2019年本屋大賞受賞作品で映画にもなった『そして、バトンは渡された』(著:瀬尾まいこ)を紹介します。

この本は一言でいえば「普通ではない家族の話」で、とにかくやさしい物語です。

心の中にランプが灯って自然と微笑みの顔になるような、そんな読後感がありました。

1回読んだだけでは物足りなくて、読み終わってすぐに2~3回読みかえしたほど気に入ったこの本についてまとめましたので、ぜひ最後までお付き合いください。

映画も気になっている人のために映画版の口コミも載せています。

この本はこんな人におススメ
  • 心温まるやさしい本が読みたい人
  • 本屋大賞受賞作品に興味がある人
  • 映画化された作品の原作を読みたい人

『そして、バトンは渡された』について

タイトルそして、バトンは渡された
著者瀬尾まいこ
出版社文藝春秋
発行日2018年2月22日

本屋大賞に間違いなし、と思える本です。

クスッと笑いながら心は温かい、重くなく軽すぎず読みやすくて、一気読みしてしまいました。

著者について

著者である瀬尾まいこさんのプロフィールです。

  • 1974年 大阪府生れ。大谷女子大学国文科卒
  • 2001年 「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、作家デビュー
  • 2005年 『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞
  • 2008年 『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞
  • 2019年 『そして、バトンは渡された』で本屋大賞受賞

『そして、バトンは渡された』がとても良かったので、他の作品も読んでみたくなりました。

『そして、バトンは渡された』のあらすじ

17歳の優子は、 母親が2歳の時に亡くなり、父親がブラジルに赴任してからは、血のつながらない親の元を転々としてきた。

今は、年が20歳しか離れていない父、森宮さんとふたり暮らしをしている。

優子は高校3年生になって受験を控える中、友達といざこざが起こり、クラスでの居心地が悪くなってしまう。

見どころ

優子は父親が3人、母親が2人いて、家族の形態が7回も変わりました。

複雑な家庭環境で普通なら同情や憐みの対象となるところですが、

困った。全然不幸ではないのだ。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』電子書籍 P6

と、優子は思う。

今の父親である森宮さんと過ごす日常が進行しながら、過去のことが少しずつ明らかになっていきます。

優子が高校生最後の1年をどのように過ごし、これまでどのようにそれぞれの親に愛されてきたのか。

血の繋がりがあってもなくても子どもを思う気持ち、親を思う気持ちに触れるところが見どころになります。

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『そして、バトンは渡された』を読んだ感想

それではこの本を読んだ感想を述べていきます。

森宮さんのキャラクターに惹かれた

メガネの男性

森宮さんと優子のやり取りが面白くて仕方がありませんでした。

森宮さんの返しがちょっとズレているんですよね。

頭がいい人なので、わざとズラしているのか、天然なのかはわかりません。

こんな人と暮らしたら毎日楽しいだろうなと思いました。

でもそれは親子の距離感だからかも。

恋人や夫だったら…と考えたら…イライラしちゃうかも。

森宮さんは“お父さん”に向いている人なんだと思いました。

ご飯を作ってくれる人がいることはありがたいこと

かつ丼のイラスト

塞いでいるときも元気なときも、ごはんを作ってくれる人がいる。それは、どんな献立よりも力を与えてくれることかもしれない。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』電子書籍 P157

自炊するようになってから、ごはんを作ってくれる人のありがたみが沁みるようになりました。

森宮さんは料理上手なので、毎日ごはんを作ってくれます。

さらにここぞ、というときには特別メニューも。

始業式には朝からかつ丼を作り、

優子が友達といざこざがあったときは2日連続でニンニクたっぷりの餃子、

受験前日には、ケチャップでぎっしり文字が書いてあるオムライス。

受験前には毎晩夜食まで(必要ないのに)。

ちょっとズレてたりしますけど、気持ちがこもっています。

いつもだと当たり前になって忘れがちになりますが、自分のことを思って作ってくれる人がいることは力の源になります。

つらいことがあっても立ち向かう原動力になりますね。

これで食事作りが苦痛でなくなった!『一汁一菜でよいという提案』という記事でも紹介していますが、料理って愛情表現で、食べる人は愛されているんですよね。

実家にいるときは、母が料理を作ってくれることに感謝もしていませんでした。

高校生だったときの私と優子が違い過ぎて恥ずかしくなりました。

親になれたことはラッキー

スキップする女性

梨花(2人目の母親)も森宮さんも親になれたことはラッキーだったと言います。

私には子どもはいないので、人生を豊かにするものなのかなと想像するしかないのが残念です。

梨花は、優子の親になって明日が2つになったと森宮さんに言ったことがあります。

明日が二つ?

そう。自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』電子書籍 P274

そして森宮さんもその通りになったと言いました。

何度も言うけど俺、本当にラッキーだったよ。優子ちゃんがやってきて、自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなに意味をもたらしてくれるものなんだって知った。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』電子書籍 P354

自分より大事なものがあるのは幸せだし、自分のためにはできないことも子どものためならできる。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』電子書籍 P354

私は親になったことはありませんが、飼い主になったことはあります。

わんこが喜ぶためなら何でもできると思っていました。

人間と動物では大変さは全然違いますね。

でもお世話したり面倒みたりするのは楽しい。自分のやりたいことや行きたいところを我慢しても、わんこが喜んでいる姿をみると、自分のことなんてどうでもいいと思えました。

また以前参加していた山登りのサークルで、お金がもらえるわけでもないのに、みんなのために至れり尽くせりの人がいたことを思い出します。

そのときは何でそこまでしてくれるんだろうと疑問に思っていました。

ある程度、経済的時間的余裕ができると、自分を楽しませるだけではつまらない、誰かの役に立ちたいと思うものなんでしょうね。

自分の力を注ぐ相手がいるということは幸せなことなんですね。

優子は血のつながらない母が1人、父が2人いますが、どの親からも大事にされました。

漫画やドラマみたい(小説ですが)、現実的ではないと思ってしまうところもないわけではないです。

でも読み終わった後にこんなに心が温かくなる。だからこれでいいと思いました。

優子ほどではなくても、家族や血縁に関わらず、誰かに自分を大事にしてもらった経験があるはずです。

そのことを思い出して、自分も大切な人を大事にしようと思える、そんな物語でした。

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映画版の口コミ

映画館イラスト

『そして、バトンは渡された』は映画化されています。

私は小説の世界観が好きなので、興味はありつつも、がっかりしたくなくて映画を観る勇気が出ないでいます。

森宮さんの口調は大泉洋さんをイメージして読んでいたので、映画のキャストは田中圭さんか、う~ん。(観てもいないのにすみません)

そこで映画を観た人の口コミを調べてみましたのでいくつか紹介します。

映画版にも興味がある人は参考にしてください。

あーやっぱり、原作のとおりではないのかぁ。

原作読んだ人でも映画に感動した人がいましたね。

私のように原作を何回も読み直した人が良かったと言っているなら、映画を観るのもありですね。

原作を読んでいない人は感動したという口コミが多く、原作を読んだ人は評価が分かれているといった感じでした。

映画版は「Hulu」でも配信があります。興味のある人は観てみてください。

登録すればいつでも、どこでも、100,000本以上の作品が見放題

まとめ

2019年本屋大賞受賞した『そして、バトンは渡された』を紹介しました。

クスッと笑いながらも心温まる、少し元気がないときに読み返したくなる本です。

まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。

そして私と一緒にこの本のファンになってもらえたら嬉しいです。

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