【感想】田辺聖子『おちくぼ姫』王朝版シンデレラストーリー

本屋大賞
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この記事では、2023年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」に選ばれた田辺聖子さんの『おちくぼ姫』を紹介します。

シンデレラのお話は、女性であれば一度は憧れたことがありますよね。

日本で、しかも千年も昔に書かれたシンデレラ物語がありました。

それが今回紹介する『おちくぼ姫』です。

意地悪な継母に育てられ、粗末な身なりで、一日中縫物をさせられているおちくぼ姫と、青年貴族のラブストーリーです。

そんなこの本を読んでみた感想をまとめました。

興味を持って下さった方はぜひ最後まで読んで、一緒に平安のシンデレラ気分を味わいましょう。

この本はこんな人におすすめ
  • 古典が好きな人
  • 王朝版シンデレラストーリーに興味がある人
  • 本屋大賞に興味がある人

『おちくぼ姫』について

タイトルおちくぼ姫
著者田辺聖子
出版社角川文庫
発行日1990年4月27日
ページ数240P

『おちくぼ姫』は古典の『落窪物語』を現代語に訳したものです。

読みやすい文章で書かれているので、スラスラと読み進めることができます。

しかも平安時代の生活様式やしきたりなどの解説つき

古典にちょっと敷居の高さを感じている人も、抵抗なく読めるのではないかと思います。

著者について

著者である田辺聖子さんのプロフィールです。

  • 大阪府大阪市生まれ。文化功労者、文化勲章受章者。位階は従三位。
  • 1956年 『虹』で大阪市民文芸賞
  • 1964年 『感傷旅行』で第50回芥川賞
  • 1987年 『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』で女流文学賞
  • 1993年 『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞
  • 1994年 第42回菊池寛賞
  • 1998年 『道頓堀の雨に別れて以来なり――川柳作家・岸本水府とその時代』で第26回泉鏡花文学賞
  • 1999年 『道頓堀の雨に別れて以来なり――川柳作家・岸本水府とその時代』で第50回読売文学賞(評論・伝記賞)
  • 2003年 『姥ざかりの花の旅傘』で第8回蓮如賞
  • 2007年 2006年度朝日賞

田辺聖子さんは超有名な人気作家さんですね。

芥川賞に選出され、直木賞の選考委員も務めていました。

古典翻訳から純文学、大衆小説、随筆やエッセイなど多種多様の作品を残されています。

『おちくぼ姫』のあらすじ

実母が亡くなったために、継母に一段床の低い部屋を与えられ、おちくぼ姫という名で呼ばれるようになった姫君。

粗末な着物しか与えられず、一日中縫物をさせられている。

そんなおちくぼ姫に興味をもつ貴族(右近の少将道頼)が現れる。

何度も手紙を書いたがおちくぼ姫から返事は来ない。

少将は強行突破して、おちくぼ姫に会いに行くことにした。

見どころ

継母に意地悪され不当な扱いを受けているおちくぼ姫と、少将の恋の行方が見どころとなります。

少将がどのようにしておちくぼ姫のハートを射止めるのか。

少将はおちくぼ姫を救い出せるのか。

継母をぎゃふんと言わせることはできるのか。

ドキドキワクワクの場面が次々と出てきますよ。

『おちくぼ姫』を読んだ感想

それでは『おちくぼ姫』を読んでみた感想を述べていきます。

平安貴族の生活が興味深い

平安貴族

現代とは違う、平安貴族の生活がとても興味深かったです。

本作品に出てきた現代との違いをいくつか紹介します。

まずは、道路は舗装されていないので、土砂降りの雨が降ると悲惨です。足元はドロドロ必至。

移動手段は徒歩または牛車ぎっしゃ

牛車

← 牛車とはこんな乗り物です。

牛なので、スピードはゆっくりのんびりですね。

現代と違ってせかせかしていないんだろうなと想像しました。

もう若くない私にとっては、徒歩か牛で移動するくらいが丁度いいです(;^_^A

次は貴族の結婚について。

貴族の女性は、几帳きちょうの陰に隠れていて、家族やお世話係以外に顔を見せません

几帳

← 几帳とはこれです。

なので、顔も知らない女性に男性が手紙を書くところから出会いが始まります。

周りからの噂話で、容姿や人となりを想像するんですね。

結婚の形式は、男性が女性の元へ通う通い婚が基本でした。

男性は何人でも妻を持てるので、いつか夫が来なくなるのでは、とヒヤヒヤしたのではないかと思います。

そんなドキドキはいりませんね。

結婚に関するしきたりは本でもっと詳しく知ることができます。

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女性は基本「待ち」の姿勢だったわけですよね。

拒否はできますが、自分から行くことは難しい。

平安時代にもキャリアウーマンはいたようですが、そうでない女性は男性の庇護の元でしか生きられない

夫や実家で人生が決まってしまう。

自分の努力で人生を切り開くことができないのは、窮屈だと思いました。

名前で呼ぶようになったのはほんの最近のこと

柴犬迷子札

昔の書物には女性の名前の記載がないことが多いですよね。

『おちくぼ姫』も主人公の名前は最後まで出てきません。

「おちくぼ」は、継母がそう呼べばいいと言った名前。

「おちくぼ姫」から最後は「新中納言の北の方」または「姫君」でした。

少将も道頼という名前がありますが、ほとんどその名前で呼ばれません。

「少将」「新中納言」という役職名で呼ばれています。

思い起こせば、江戸時代まで高貴な人は役職で呼ぶのが普通で、名前で呼ぶようになったのはほんの最近のことなんですよね。

大河ドラマでも「殿」「御台みだい」と呼び合っていました。

名前で呼ぶというのは特別な関係になった証です。

そこは昔とは違う価値観なのだと思いました。

今も千年昔も人間は変わらない

脳みそ

今も昔も人間というのは変わらないことがわかりました。

自分1人だけ愛してほしいことも、嫉妬することも、継母が意地悪することも、男性は若い女性が好きなことも、今も千年前も変わらないんですね。

そして、この作者不明のシンデレラストーリーが千年後まで残った理由が、著者のあとがきにありました。

それはつまり、この世に生きてゆく上で、純愛をつらぬくことは、千年前もいまも、むつかしいからでしょう。

現実でかなえられない夢を、この物語に託したのでしょう。

『おちくぼ姫 (角川文庫)』(田辺 聖子 著)

自分1人だけ愛してほしい、純愛を貫いてほしい。

でもそれはかなえられない夢。

現実ではかなわないからこそ、この物語は時代を超えて人々に夢を与え続けた。

千年経っても変わらない人の営みに感動を覚えました。

最後に

2023年本屋大賞「超発掘本!」に選ばれた田辺聖子さんの『おちくぼ姫』を紹介しました。

いくつになっても女性の憧れであるシンデレラストーリー(平安王朝版)です。

現実ではかなわない夢を物語の世界でかなえましょう。

まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。

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