今回は第46回(2023年)すばる文学賞を受賞した『がらんどう』大谷朝子著を紹介します。
この作品は、まさに“今”を生きるアラフォー独身女性の悩みや葛藤が描かれています。
ページ数も120Pと多くはないので、1~2時間もあれば読めちゃいます。
あまり重くない物語をサクッと読みたい方におススメです。
読んでみた感想をまとめましたので、参考にしていただけたら幸いです。
『がらんどう』という本について
タイトル | がらんどう |
著者 | 大谷朝子 |
出版社 | 集英社 |
発売日 | 2023年2月3日 |
『がらんどう』は第46回すばる文学賞を受賞しています。
私はすばる文学賞という賞があるのを知りませんでした。
直木賞や芥川賞など有名なもの以外にも文学賞はたくさんの種類があるんですね。(すばる文学賞も十分有名なのかもしれませんが)
著者について
著者である大谷朝子さんのプロフィールです。
1990年千葉県生まれ。「がらんどう」で第46回すばる文学賞を受賞。
新人さんですので、あっさりしたプロフィールですね。
今後の作品がとても楽しみです。
あらすじ
一度も恋愛感情を抱いたことのない38歳の女性、平井。
3Dプリンターで死んだ犬を製作して販売している42歳の女性、菅沼。
月に一度会って飲む仲である二人がルームショアをすることになる。
見どころ
コロナ禍にあるアラフォー独身女性の悩み・葛藤が見どころです。
アラフォーというのは、誰もが「私の人生このままでいいのか」と悩む年ごろです。
コロナ禍や婚活アプリなど、現代特有の悩みや葛藤が描かれています。
『がらんどう』を読んだ感想
この本を読んだ私の感想をまとめました。
同志がいるのは心強い
平井と菅沼、この二人のようにいわゆる“同志”がいれば心強いなと思いました。
平井も菅沼も母の影響から結婚願望はありません。
コロナ禍の在宅勤務で誰とも話をしない。
会社の人以外で会うのは、お互いしかいない。
そこで二人とも「寂しい」ことに耐えられなくなりました。
同性だからこそ相手の悩みや痛みがわかるし共感できる。
女性同士だから成り立つルームシェアなのかなと思いました。
ただ女性同士でも、お金の問題や家事の分担、掃除の仕方などで揉める可能性もあります。
でもこの二人はうまくいっているようです。
そんな相手と出会えることが奇跡のようなものですね。
私もそんな同志と出会えていたら、結婚しなかったと思います。
普通に生きる
女性の幸せと言ったら結婚して子供を持つこと。
それが普通の人生で常識のように思われてきました。
でも今は多様な生き方が認められつつあり、平井や菅沼のように結婚願望がない人も少なくないです。
平井は結婚願望はないけど、子供を産みたい気持ちがありました。
38歳と言えば、結婚しててもしてなくても、子供を産めるタイムリミットが近づいてます。
平井と同じように悩む年ごろですね。
菅沼の方は、自分の給料では1LDKにも住めない。
自分の生活の展望に行き詰まりを感じていました。
私は菅沼と同じ年齢の時に離婚しました。
一人になって住む部屋を探すときに、菅沼と同じ状況になりました。
普通に働いていて、1LDKにも住めない。
この先、給料がぐんと上がる見込みはない。
生きてはいけるという程度の暮らしが待っていました。
なので、菅沼のルームシェアしようという提案は納得です。
二人ならもっといい広い部屋に住める。
話し相手がいて、寂しくない。
同志がいて、子供を望まなければ結婚にこだわる必要はないと思いました。
男性と一緒に暮らしていても入籍にこだわらない人も増えましたね。
「普通」の概念が変わりつつあるのだと思います。
「今」の物語
コロナ禍や婚活アプリなど、まさしく「今」の時代の物語です。
最近はちょっと昔の本を読んでいたせいか、とても新鮮に感じました。
十年二十年後に読めば、そういえばみんなマスクしていたなぁなんて懐かしく読めるでしょうね。
今を感じる、今の物語。
今この本を読んで、何年か後にもう一度読めば、2回楽しめる本だと思います。
またこの本は長い物語ではありません。
この後さらに事件が起きて二人の仲に変化が起きるのかな・・・と思っていたところで物語は終わりました。
2人の今後を想像するのもこの本の楽しみ方の一つですね。
まとめ
この記事では、すばる文学賞を受賞した『がらんどう』についてご紹介しました。
アラフォーにさしかかり、これからの人生を考えた時に生じる悩みや葛藤が描かれています。
同じように悩んでる人、悩んだことのある人にぜひ読んでいただきたいです。
最後までこの記事を読んでくださり、ありがとうございました。