この記事では、2016年本屋大賞第2位となった、住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』を紹介します。
この本は、実写やアニメ映画化されていますので、題名を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
本作品は、膵臓の病気で余命1年未満の女子高生と、男子クラスメイトの物語です。
正反対の性格の2人が心を通わせることによって、お互いに変化が起こります。
人は変わる、変わることができるということをしみじみと感じました。
そんな本作品を読んだ感想と、随所に出てくる名言をまとめました。
この記事を、本選びの参考にしていただければ幸いです。
『君の膵臓をたべたい』について
タイトル | 君の膵臓をたべたい |
著者 | 住野よる |
出版社 | 双葉社 |
発行日 | 2015年6月17日 |
ページ数 | 270P(電子書籍) |
本屋大賞第2位になって、実写映画化、アニメ映画化されて、とても有名な本であることと、高校生の物語であることから、読むのを躊躇していたことを後悔しました。
おばさんの心をもゆさぶり、感動をくれた本でした。
読んでいて、あー若いからな~と思うことはありましたが、人を思う気持ちや生きるとは何かと考える気持ちに、年齢は関係ないのですね。
著者について
著者である、住野よるさんのプロフィールです。
高校時代より執筆活動を開始。2015年『君の膵臓をたべたい』でデビュー。同作で2016年「本屋大賞」第2位、Yahoo!検索大賞【小説部門賞】など、数多くの賞を受賞した。
他の著書に『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』がある。(2017年4月現在)
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)
この本はデビュー作だったんですね。
デビュー作でいきなり数々の賞を受賞していることに驚きました。
ぎょっとするようなタイトルと、予想を裏切る展開に、受賞するのも納得の作品でした。
『君の膵臓をたべたい』のあらすじ
病院の待合室に落ちていた本「共病文庫」を読んだことで、クラスメイトである山内桜良の秘密をたまたま知ってしまった「僕」。
桜良は、膵臓の病気で余命1年未満だった。
クラスでも地味で目立たない、現実より小説の世界を好む「僕」は、それから桜良の思い出作りに付き合わされることになる。
主人公「僕」の名前は、さいご~の方にやっと出てきます。
その時々で【秘密を知ってるクラスメイト】【地味なクラスメイト】【仲いいクラスメイト】のように呼び方が変わるので、名前は出さない戦略?かと思ったら違いました(;^_^A
見どころ
なるべく人と関わらないように生きてきた「僕」
桜良の「死ぬまでにやりたいこと」に付き合っていくうちに、人の表情を読むようになったり、相手の気持ちを考えたり、変わっていくところが見どころになります。
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『君の膵臓をたべたい』の名言と感想
それでは、この本を読んだ感想を、名言を紹介しながら述べていきたいと思います。
1日の価値は同じであるということ
過ごし方や人によって1日の価値は変わらない、ということにグッときました。
私も君も、もしかしたら明日死ぬかもしれないのにさ。そういう意味では私も君も変わんないよ、きっと。
一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P13
図書委員の仕事なんかしていないで、もっと有意義に過ごした方がいいんじゃないかと言った「僕」に桜良が言った言葉です。
余命が決まっているからと言って、桜良は特別な過ごし方を望みませんでした。
楽しく過ごせたらそれで良し!とする考え方は素敵だと思いました。
全ての人間が、いつか死ぬようになんて見えないってことに。僕も、犯人に殺された人も、彼女も、昨日生きていた。
死ぬ素振りなんて見せずに生きていた。
そうか、それが、誰の今日の価値も同じということなのかもしれない。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P64
産まれてきた以上、死亡率100%で、死なない人はいませんね。
昨日生きていたからって、今日も生きるとは限らない。
余命宣告されていてもいなくても、いつ死ぬかはわかりません。
どんな人にとっても、今日の価値は同じということ。
今まで考えたことがありませんでした。
桜良にいろんなことを教えられたのは「僕」だけではなく、私もでした。
偶然や運命ではなく、自分で選んでいる
全てが自分の選択と意思によるもの、という桜良の言葉は、私の心に響きました。
恥ずかしながら私はすぐに、それは運命だと考えがちだからです。
違うよ。偶然じゃない。私達は、皆、自分で選んでここに来たの。
君と私がクラスが一緒だったのも、あの日病院にいたのも、偶然じゃない。運命なんかでもない。
君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P162
自分の人生の責任を自分でとるというのは、こういうことなのだと思いました。
偶然だとか運命だとかって自分の意思とは関係ないように思うけど、そうではないんですね。
自分が選んできたこと。
逃げそうになったとき、思い出したいです。
そうか、今、気がついた。 誰も、僕すらも本当は草舟なんかじゃない。
流されるのも流されないのも、僕らは選べる。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P206
「僕」は桜良の提案に、ほとんど異議を唱えず(唱えられず?)草舟のように流されてきた、と思っていた。
流されるって自分の意思はないように思いますが、流されることを選んでいる。
すべてが自分の意思によるもので、逃げ場はありませんね。
10代の2人の言葉がとても深く、50年以上生きてきてハッとするとは情けなくなりました。
人は変わるし、変わることができる
「僕」は、人との関わりを必要としていませんでした。
でも、1度人と心を通わせる経験をしたら、もう元の人間には戻れないのだと思いました。
知らなかった、誰かに怒りを向けることが、こんなに誰かを傷つけるなんて。こんなに自分を傷つけるなんて。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P150
初めて人に怒りを向けた「僕」は、相手を傷つけ自分も傷ついて、後悔します。
高校生になって初めて、、、、というのも驚きです。
人と関わるということは、無傷ではいられませんね。
僕は、人との関わりを喜んでいた。生まれて初めてだった。
誰かと一緒にいて、一人になりたいと一度も思わなかったのは。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P201
桜良と同じ時間を過ごるうちに、「僕」はだんだん変わっていきます。
そして、
「僕は、本当は君になりたかった」
人を認められる人間に、人に認められる人間に。 人を愛せる人間に、人に愛される人間に。
引用:『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』(住野よる 著)電子書籍P208
桜良と過ごした時間は、たった4ヶ月。
それなのに、人はこんなに変わることができるのです。
すごいと思いませんか?
桜良のような人になりたかった「僕」は、小説の世界に生きる元の「僕」には戻りません。
もう戻れないと思います。
そして、「僕」の行動は変わりました。
どのように変わったのかは、本を読んでご確認ください。
最後に
2016年本屋大賞2位を獲得した、住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』を紹介しました。
余命いくばくもない女子高生と、クラスメイトのかけがえのない輝いた日々の物語です。
まだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてください。
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