第36回山本周五郎賞、第169回直木賞を受賞した永井沙耶子さんの作品「木挽町のあだ討ち」を読んでみました。
私は本屋大賞と直木賞を受賞した本が好きで、相性が良いと勝手に思っています。
2023年受賞したばかりのこの本も、私の期待を裏切りませんでした。
「木挽町のあだ討ち」について読んでみた感想をまとめましたので、読んだ人も読もうか迷っている人もぜひ最後までお付き合いお願いします!
「木挽町のあだ討ち」の紹介
タイトル | 木挽町のあだ討ち |
著者 | 永井沙耶子 |
出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2023年1月18日 |
この本は、第169回 直木三十五賞と第36回 山本周五郎賞の受賞作です。
時代歴史小説ですが、ミステリー要素もあり、人情もあり、エンターテイメント性に富んでいて、時代小説に興味がない人でも楽しめる小説となっています。
読み終わったときは、映画や芝居を観た後のように気持ちが高揚しました!
著者について
著者である永井沙耶子さんのプロフィールです。
- 1977年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
- 新聞記者を経て、フリーランスライターとして活躍。
- 2010年、「恋の手本となりにけり」で、第11回小学館文庫小説賞を受賞。
- 2020年、『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で、第3回細谷正充賞、第10回「本屋が選ぶ時代小説大賞」、2021年、第40回新田次郎賞を受賞。
- 2021年、『女人入眼』で、第167回直木賞候補になる。
- 2023年、『木挽町のあだ討ち』で、第36回山本周五郎賞を受賞、第169回直木賞を受賞
永井沙耶子さんは数々の賞を受賞、または受賞候補となっていますね。
私は永井沙耶子さんの本を読むのは「木挽町のあだ討ち」が初めてでしたが、物語にすぐに引き込まれ最後まで飽きさせない構成力が素晴らしいと思いました。
著者が書いたほかの本も読んでみたくなりました。
本のあらすじ
父を殺した作兵衛への仇討ちを成功した菊之助。
菊之助の縁者が、仇討ちが行われた芝居小屋に行って聞き込みをし、真相を解き明かしていく物語です。
仇討ちを成し遂げるまでの話かと思って読み始めたら違いました。
読みながら百田尚樹さんが書いた「永遠の0(ゼロ)」を思い出しました。
「永遠の0(ゼロ)」も関係のあった人たちに聞き込みをしていくうちに真相が明かされていきました。
聞いた人によって全く違った一面が見えるのが面白いですよね。
本の口コミ
私は面白く楽しめたこの本ですが、ほかの人はどうだったのか口コミを調べてみました!
昔も今も「人」は同じなんですね。
同じように悩んだ人たちの行動を知って参考にすることが、歴史に触れる意味かもしれません。
「あだ討ち」に魅かれた人がいました。
江戸時代は正式に認められていたんですね。
届を出して許可を得る。無事に成し遂げたら国に帰れるが、成し遂げられなければ帰れない。
認められてはいますが、簡単にできるものではないですね。覚悟が必要です。
途中でやめることなんてできない。一気読みしたくなる面白さです。
面白かった!と高評価がほとんどでした。
本の感想
ここからは私がこの本を読んだ感想です。
まだ読んでいない人はご注意ください。
ミステリー要素あり
仇討ちを成し遂げるまでの話かと思って読み始めたら、仇討ちが成功したところから始まりました。
仇討ちを成功させた菊之助の縁者を名乗る者が、現場となった芝居小屋に聞き込みにきます。
え?何か問題があるの?何が知りたいの?と、ハテナ?だらけでした。
しかも相手の生い立ちまで知りたがります。
興味本位で聞いてるのかと思ったりもしましたが、この生い立ちもとても重要でした。
最後まで読むとすべてが繋がってスッキリします。
芝居小屋の面々の人生が興味深い
菊之助に関わった5人に聞き込みをしますが、少しずつ違う話が聞けます。
それはそれぞれの生い立ちと菊之助との関わり方の違いからです。
芝居小屋にたどり着くまでのそれぞれの生い立ちに涙が出ました。
誰もが「枷(かせ)」を負っている。生まれた家、身分、職業、男性、女性、父、母など。
枷に苦しみ、自分の居場所が居心地悪く、生きづらくて苦しむ。
簡単ではないけど、そこから抜け出して芝居小屋にたどり着いて、自分の生き方に納得して生き生きと生きている。
5人の生い立ちや生きざま、人柄に菊之助が影響を受けていきます。
人は一人で生きてるのではない。影響しあって生きているのですね。
結末について ※ネタバレ注意
結末を読んだ感想になりますので、まだ読んでいない人は飛ばしてください。m(__)m
結末を読んで、謎が解けて、それはスッキリしたのですが・・・
でも菊之助が「武士とは」と熱く語っていて、仇討ちを決意した志はこれで良かったのか、と一度は考えてしまいました。
でもこれで良かったのかではなく、これで良かった。
人間とは人生とはそんなものだろうと。
杓子定規にこうでなければならない、に縛られるのも「枷」になります。
番所に仇討ちが成ったことを認めてもらえば「成った」のです。
芝居小屋の人たちに出会ったからですね。
身分を超え、人としてつながったことにより菊之助も救われました。
現代は身分制ではなくなりましたが、立場や性別などにより、下に見てしまうことはあります。
でもどんな人にも「物語」があり、同じ人間です。
上下ではなく、人間性や生きざまの方がよっぽど重要だと思いました。
まとめ
第36回山本周五郎賞、第169回直木賞を受賞した永井沙耶子さんの作品「木挽町のあだ討ち」についてまとめました。
芝居小屋の5人一人ひとりだけでも、本にできるくらいの物語があります。
人情やミステリー、時代、仇討ち、様々な要素を持ったこの本は読んで良かった!と思わせてくれますので、まだ読んでない人はぜひ読んでみてください。
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歴史時代小説が好きな人におススメの本をまとめた記事があります。
ぜひ合わせてご覧ください。
永井紗耶子さんの本は『女人入眼』もおすすめです。