この記事では、2021年本屋大賞の超発掘本!に選ばれた、みうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方』を紹介します。
この本を読んで、発想の転換がとても大事なことと、自分の生き方や考え方が超つまらないことに気がつきました。
すでに「ある仕事」で勝負しようとしても、勝ち目はないんですよね。
だからといって、文才も絵心もない私がみうらさんのようにできるかと言ったら、、、無理です。
でも参考にしたい、私の人生にも取り入れたい、と思ったことがいくつかありました。
そうすれば、苦手なことやつまらないことも、面白がって楽しむことができると思ったからです。
仕事や人生を楽しむためのヒントが書いてある、この本の要約と感想をまとめました。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
『「ない仕事」の作り方』について
2021年本屋大賞の発掘部門、超発掘本!に選ばれた作品です。
読みながら、あーなるほど!そういう考え方があったのか!そうすればいいのか!と驚きの連続でした。
日常に刺激が足りないと思っている人にもおすすめですよ。
著者について
著者である、みうらじゅんさんのプロフィールです。
1958年京都市生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活躍。
1997年、造語「マイブーム」が新語・流行語大賞受賞語に。
2005年、日本映画批評家大賞功労賞受賞。
2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。興福寺「阿修羅ファンクラブ」の会長。
著書に『アイデン&ティティ』、『マイ仏教』、『見仏記』シリーズ(いとうせいこうとの共著)、『人生エロエロ』など。音楽、映像作品も多数ある。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)
「マイブーム」という言葉は、今は普通に使われていますよね。
これは、みうらさんが作った言葉だったことに驚きました。
そのように元々はないものを「ある」ものとしてブームを作り、浸透させるやり方がこの本には書かれているのです。
そんな大それたことをしたいわけじゃない、と思う人がいるかもしれません。
ですが、仕事に役立つノウハウがたくさん出てきますので、読んで損はない本だと思います。
『「ない仕事」の作り方』の要約と感想
それでは、本作品の要約をしながら感想を述べていきたいと思います。
『「ない仕事」の作り方』の目次は、次のとおりです。(大項目のみ記載しています)
- まえがき
- 第1章 ゼロから始まる仕事術~ゆるキャラ
- 第2章 「ない仕事」の仕事術
- 第3章 仕事を作るセンスの育み方
- 第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像
- あとがき 本当の「ない仕事」~エロスクラップ
あとがきの後に、みうらさんの唯一の上司糸井重里さんとの対談があります。
目次を見てピンときた人もいると思いますが、「ゆるキャラ」もみうらさんが作った造語です。
それでは簡単に各章を要約していきますね。
第1章 ゼロから始まる仕事術~ゆるキャラ
第1章は、「ゆるキャラ」を題材にして、「ない仕事」がどのように生まれたのか。
そしてどのように仕事として成立し、広まっていったのかが書かれています。
みうらさんは初めから着ぐるみにものすごく興味があって、好きだったわけではないんですよね。
「絶対にゆるキャラのブームが来る」と強く思い込んで、自分を洗脳します。
そして、好きだから集めるのではなく、圧倒的に量が集まったから好きになるということ。
人は「大量なものに弱い」のだそうです。
なるほどと思いました。
集めたものを眺めて、愛着が深まることはありますよね。
それから、私にとっての名言がこの章にありましたので、紹介します。
それは、「そこがいいんじゃない!」 です。
「つまらないかもな」と思ったら「つま……」くらいのタイミングで、「そこがいいんじゃない!」と全肯定し、「普通」な自分を否定していく。
そうすることで、より面白く感じられ、自信が湧いてくるのです。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P22
人はよくわからないのものに「つまらない」と反応しがちなんだそうです。
でもそれでは、ただの「普通」です。面白くないですよね。
何かとマイナス思考に陥りそうなとき、使わせていただこうと思いました。
第2章 「ない仕事」の仕事術
第2章からは、具体的な考え方や手法について紹介されています。
1 発見と「自分洗脳」
この項目では、「見つける」ことと「好きになること」を実例で解説。
中身を見なくても、項目名だけでもう面白いですよね。
「自分を洗脳する~テングーとゴムヘビ」の中で、みうらさんは次のように言っています。
第一印象が悪いものは、「嫌だ」「違和感がある」と思い、普通の人はそこで拒絶します。
しかしそれほどのものを、どうやったら好きになれるだろうかと、自分を「洗脳」していくほうが、好きなものを普通に好きだと言うよりも、よっぽど面白いことになるからです。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P40
いやぁそこまでして嫌なものを好きになる必要が、、、、と思ってしまったら、普通の人止まりなんでしょうね。
私はこれを絶対好きになると洗脳する。そして、とことん追求する。すると好きになる。
私はただの会社員ですが、「仕事だからやる」程度の仕事がたくさんあります。
それを嫌々やるよりも、「私はこの仕事が好きだ」と洗脳して好きになった方がずっと楽しいでしょうし、精神衛生上もいいんだろうなと思いました。
2 ネーミングの重要性
次はネーミングについてのお話です。
ここでも具体例がたくさんあげられています。
この中で、グッときたのは「重い言葉をポップにする」でした。
「童貞ブーム」「失恋プレイ」のように、「ブーム」や「プレイ」をつけると何だか明るい雰囲気になりますよね。
ネガティブなことを楽しんじゃおう、ということ。
その中で、みうらさんが本まで出しているのは「親孝行プレイ」です。
照れくさい親孝行もまずは行動すること。「プレイ」をつけて楽しむノウハウが書かれているそうですよ。
私も気が進まないことは「プレイ」や「ブーム」をつけてみようと思いました。
あとは「ごっこ」もいいかな。
『親孝行プレイ』が気になった人は、ぜひ読んでみてください。
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30日間の無料お試しで読むのはいかがでしょうか。
3 広めることと伝わること
ここでは、名前を付けた後のことが書かれています。
まずは、仕事に対する心構えの話です。
著者は、大人数に受けようとしていないのだそうです。
ほぼ近しい1人か2人に向かって仕事をしている。編集者と母親とか。
特に母親に褒められたい、母親を喜ばせたいと。
1人2人に向かって仕事をしていると、賛同してくれて面白がってくれる人が現れるんですよね。
でも最初から大人数を狙うと、対象がぼやけてしまって、誰にも受け入れられないものになってしまうということです。
そして、次は「広める」という大事な段階。
著者は「接待」の大切さを本の中で何度も訴えています。
「1人電通」として編集者を「接待」という飲み会に誘う。
そして仲良くなって、連載の仕事をもらう。見せ方の提案までできるようになる。
この「接待力」は若いサラリーマンにも武器になるので、上司に誘われて飲みに行く時のコツも伝授してくれていますよ。
第3章 仕事を作るセンスの育み方
第3章は、著者の幼少期からデビューまでをたどって、「ない仕事」の発想や広め方がどのように培われてきたかの解説です。
1 少年時代の「素養」が形になるまで
まだ小学生で怪獣スクラップを作っていたときから、糸井重里さんと出会いデビューし、オシャレなイラストレーターの仕事をして、オシャレな仕事を止めるまでのお話です。
ここで驚いたのは、みうらさんが高校生のとき、「曲を作れば作るほどモテる」ので「1日4曲」の作詞作曲をノルマにして、卒業までに400曲以上作ったというエピソードです。
仕事でも趣味でも、日々自分にノルマや締切を与えて、もう一人の自分が斜め上からコーチしているような気持ちで実行すると、より一層がんばれるような気がします。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P115
このように自分コーチをつけて、400曲以上作ったんですね。
モテたいという動機はそれほどまでなのか、と思いました。
2 たどり着いた仕事の流儀
ここでは、みうらさん流の仕事の流儀のお話です。
まず、「自分をなくす」ということが印象に残りました。
私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。
「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P132
自分のアイデアは対象物のためだけにあると思うべき、だそうです。
そして、
「自分探し」をしても、何にもならないのです。そんなことをしているひまがあるのなら、徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をするほうが大切です。
自分をなくして初めて、何かが見つかるのです。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P133
自分に焦点があるうちはダメなんですね。
個性のかたまりである著者がこんなことを言うなんて、意外でした。
それから、もう1つ心に残ったことが。
著者は無理してでも「不自然体」でいることを心掛けている、ということです。
なぜなら、自然体では仕事が来ないからです。
興味を持ってもらってなんぼ、だからですね。
第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像
第4章では、著者の子どものころからの「仏像」好きが、どのように仕事になっていったのかをモデルケースとして紹介しています。
みうらさんは、はじめは怪獣にハマっていましたが、怪獣では博士になれないから、とライバルのいない仏像にシフトチェンジします。
一時的に仏像から離れることがありましたが、仏像大使に任命されるまでに。
それは、子どものころからの「好きの貯金」があったから。
言うは易いですが、やり続けることが大切なのです。
何かを好きになるというのは、自分を徐々に洗脳して、長く時間をかけて修行をして、対象のことを深く知ってからでないと、長続きもしないし、人を説得することもできないということです。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P152
少し知ったからといって簡単に好きと言ってはいけない、とも言っています。
ずっとずっと追いかけ続けているもの、誰にも負けないくらいの知識を持ってからでないと、本当に好きとは言えない。
ここで私は、子どものころからずっと好きでハマっているものってあったかな、と考えてみました。
考えなきゃいけない時点でもう、、、ですね(;^_^A
変わらず好きなものは「読書」と「歴史」です。
でも突き詰めるのではなく広く浅くなので、好きとは言えませんね。
みなさんにもし子どものころからずっと好きで、追いかけ続けたものがありましたら、「ない仕事」ができるかもしれませんよ。
最後に
2021年本屋大賞発掘部門の超発掘本!に選ばれた『「ない仕事」の作り方』について述べてきました。
最後に、まえがきにあるグッとくる言葉を紹介したいと思います。
どんな仕事であれ、「やりたいこと」と「やらねばならぬこと」の間で葛藤することが多いと思われます。
それは私も同じです。
そこで肝心なのは、そのときに「自分ありき」ではなくて、「自分をなくす」ほど、我を忘れて夢中になって取り組んでみることです。
新しいことはそこから生まれます。
引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P6
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