【要約と感想】『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん

本屋大賞
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この記事では、2021年本屋大賞の超発掘本!に選ばれた、みうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方』を紹介します。

この本を読んで、発想の転換がとても大事なことと、自分の生き方や考え方が超つまらないことに気がつきました。

すでに「ある仕事」で勝負しようとしても、勝ち目はないんですよね。

だからといって、文才も絵心もない私がみうらさんのようにできるかと言ったら、、、無理です。

でも参考にしたい、私の人生にも取り入れたい、と思ったことがいくつかありました。

そうすれば、苦手なことやつまらないことも、面白がって楽しむことができると思ったからです。

仕事や人生を楽しむためのヒントが書いてある、この本の要約と感想をまとめました。

ぜひ参考にしていただければ幸いです。

見出し
  • 仕事に行き詰りを感じている人
  • みうらじゅんが好きな人
  • 目から鱗な本が読みたい人
  • 本屋大賞に興味がある人

『「ない仕事」の作り方』について

タイトル「ない仕事」の作り方
著者みうらじゅん
出版社文藝春秋
発行日2015年11月24日
ページ数213P(電子書籍)

2021年本屋大賞の発掘部門、超発掘本!に選ばれた作品です。

読みながら、あーなるほど!そういう考え方があったのか!そうすればいいのか!と驚きの連続でした。

ざきざき
ざきざき

日常に刺激が足りないと思っている人にもおすすめですよ。

著者について

本と羽

著者である、みうらじゅんさんのプロフィールです。

1958年京都市生まれ。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。以来、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活躍。

1997年、造語「マイブーム」が新語・流行語大賞受賞語に。

2005年、日本映画批評家大賞功労賞受賞。

2018年、仏教伝道文化賞沼田奨励賞受賞。興福寺「阿修羅ファンクラブ」の会長。

著書に『アイデン&ティティ』、『マイ仏教』、『見仏記』シリーズ(いとうせいこうとの共著)、『人生エロエロ』など。音楽、映像作品も多数ある。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)

「マイブーム」という言葉は、今は普通に使われていますよね。

これは、みうらさんが作った言葉だったことに驚きました。

そのように元々はないものを「ある」ものとしてブームを作り、浸透させるやり方がこの本には書かれているのです。

そんな大それたことをしたいわけじゃない、と思う人がいるかもしれません。

ですが、仕事に役立つノウハウがたくさん出てきますので、読んで損はない本だと思います。

『「ない仕事」の作り方』の要約と感想

ポイント

それでは、本作品の要約をしながら感想を述べていきたいと思います。

『「ない仕事」の作り方』の目次は、次のとおりです。(大項目のみ記載しています)

  • まえがき
  • 第1章 ゼロから始まる仕事術~ゆるキャラ
  • 第2章 「ない仕事」の仕事術 
  • 第3章 仕事を作るセンスの育み方
  • 第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像
  • あとがき 本当の「ない仕事」~エロスクラップ

あとがきの後に、みうらさんの唯一の上司糸井重里さんとの対談があります。

目次を見てピンときた人もいると思いますが、「ゆるキャラ」もみうらさんが作った造語です。

それでは簡単に各章を要約していきますね。

第1章 ゼロから始まる仕事術~ゆるキャラ

ゆるキャラ

第1章は、「ゆるキャラ」を題材にして、「ない仕事」がどのように生まれたのか。

そしてどのように仕事として成立し、広まっていったのかが書かれています。

  • 「ゆるキャラ」との出会い
  • 「ゆるキャラ」と命名
  • 自分洗脳と収集
  • 雑誌に売り込む
  • イベントを仕掛ける
  • ブームとは「誤解」

みうらさんは初めから着ぐるみにものすごく興味があって、好きだったわけではないんですよね。

「絶対にゆるキャラのブームが来る」と強く思い込んで、自分を洗脳します。

そして、好きだから集めるのではなく圧倒的に量が集まったから好きになるということ。

人は「大量なものに弱い」のだそうです。

なるほどと思いました。

集めたものを眺めて、愛着が深まることはありますよね。

それから、私にとっての名言がこの章にありましたので、紹介します。

それは、「そこがいいんじゃない!」 です。

「つまらないかもな」と思ったら「つま……」くらいのタイミングで、「そこがいいんじゃない!」と全肯定し、「普通」な自分を否定していく。

そうすることで、より面白く感じられ、自信が湧いてくるのです。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P22

人はよくわからないのものに「つまらない」と反応しがちなんだそうです。

でもそれでは、ただの「普通」です。面白くないですよね。

何かとマイナス思考に陥りそうなとき、使わせていただこうと思いました。

第2章 「ない仕事」の仕事術 

手帳に書き込むサラリーマン

第2章からは、具体的な考え方や手法について紹介されています。

1 発見と「自分洗脳」

この項目では、「見つける」ことと「好きになること」を実例で解説。

  • 伝わっていないものを伝える~吉本新喜劇ギャグ100連発
  • ないものから探す~勝手に観光協会
  • 自分を洗脳する~テングーとゴムヘビ
  • 逆境を面白がる~地獄表
  • 趣味は突き詰める~ブロンソンズ
  • 人からの影響を受ける~大島渚
  • 好きなものが連鎖する~崖っぷち

中身を見なくても、項目名だけでもう面白いですよね。

「自分を洗脳する~テングーとゴムヘビ」の中で、みうらさんは次のように言っています。

第一印象が悪いものは、「嫌だ」「違和感がある」と思い、普通の人はそこで拒絶します。

しかしそれほどのものを、どうやったら好きになれるだろうかと、自分を「洗脳」していくほうが、好きなものを普通に好きだと言うよりも、よっぽど面白いことになるからです。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P40

いやぁそこまでして嫌なものを好きになる必要が、、、、と思ってしまったら、普通の人止まりなんでしょうね。

私はこれを絶対好きになると洗脳する。そして、とことん追求する。すると好きになる。

私はただの会社員ですが、「仕事だからやる」程度の仕事がたくさんあります。

それを嫌々やるよりも、「私はこの仕事が好きだ」と洗脳して好きになった方がずっと楽しいでしょうし、精神衛生上もいいんだろうなと思いました。

2 ネーミングの重要性

次はネーミングについてのお話です。

ここでも具体例がたくさんあげられています。

  • ネーミングでマイナスをプラスにする~いやげもの
  • 本質を突く~とんまつり
  • 怒られることを逆転する~らくがお
  • 重い言葉をポップにする~親孝行プレイ
  • 流行るものは略される~シベ超
  • 意図しないものが流行る~DT

この中で、グッときたのは「重い言葉をポップにする」でした。

「童貞ブーム」「失恋プレイ」のように、「ブーム」や「プレイ」をつけると何だか明るい雰囲気になりますよね。

ネガティブなことを楽しんじゃおう、ということ。

その中で、みうらさんが本まで出しているのは「親孝行プレイ」です。

照れくさい親孝行もまずは行動すること。「プレイ」をつけて楽しむノウハウが書かれているそうですよ。

私も気が進まないことは「プレイ」や「ブーム」をつけてみようと思いました。

あとは「ごっこ」もいいかな。

『親孝行プレイ』が気になった人は、ぜひ読んでみてください。

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3 広めることと伝わること

ここでは、名前を付けた後のことが書かれています。

  • 母親に向けて仕事をする~人生エロエロ
  • 雑誌という広報誌~奥村チヨブーム
  • 接待の重要性~VOW
  • チームを組む~ザ・スライドショー
  • 言い続けること~AMA
  • 暗黙の了解を得る~アイデン&ティティ

まずは、仕事に対する心構えの話です。

著者は、大人数に受けようとしていないのだそうです。

ほぼ近しい1人か2人に向かって仕事をしている。編集者と母親とか。

特に母親に褒められたい、母親を喜ばせたいと。

1人2人に向かって仕事をしていると、賛同してくれて面白がってくれる人が現れるんですよね。

でも最初から大人数を狙うと、対象がぼやけてしまって、誰にも受け入れられないものになってしまうということです。

そして、次は「広める」という大事な段階。

著者は接待」の大切さを本の中で何度も訴えています。

「1人電通」として編集者を「接待」という飲み会に誘う。

そして仲良くなって、連載の仕事をもらう。見せ方の提案までできるようになる。

この「接待力」は若いサラリーマンにも武器になるので、上司に誘われて飲みに行く時のコツも伝授してくれていますよ。

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第3章 仕事を作るセンスの育み方

育む(水やり)

第3章は、著者の幼少期からデビューまでをたどって、「ない仕事」の発想や広め方がどのように培われてきたかの解説です。

1 少年時代の「素養」が形になるまで

  • 1人編集長~怪獣スクラップ
  • 自分塾の大切さ~DTF
  • デビューと初期作品~オレに言わせりゃTV
  • 糸井重里さんとの出会い~見苦しいほど愛されたい
  • まだないことを描く~カリフォルニアの青いバカ

まだ小学生で怪獣スクラップを作っていたときから、糸井重里さんと出会いデビューし、オシャレなイラストレーターの仕事をして、オシャレな仕事を止めるまでのお話です。

ここで驚いたのは、みうらさんが高校生のとき、「曲を作れば作るほどモテる」ので「1日4曲」の作詞作曲をノルマにして、卒業までに400曲以上作ったというエピソードです。

仕事でも趣味でも、日々自分にノルマや締切を与えて、もう一人の自分が斜め上からコーチしているような気持ちで実行すると、より一層がんばれるような気がします。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P115

このように自分コーチをつけて、400曲以上作ったんですね。

ざきざき
ざきざき

モテたいという動機はそれほどまでなのか、と思いました。

2 たどり着いた仕事の流儀

ここでは、みうらさん流の仕事の流儀のお話です。

  • 見合った方法で発表する~色即ぜねれいしょん
  • 「私が」で考えない~自分なくしの旅
  • 不自然に生きる~グラビアン魂
  • 安定しないふりをする~ロングヘアーという生き方
  • 「空」に気づく~アウトドア般若心経
  • ぐっとくるものに出会う~シンス

まず、「自分をなくす」ということが印象に残りました。

私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません

「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P132

自分のアイデアは対象物のためだけにあると思うべき、だそうです。

そして、

「自分探し」をしても、何にもならないのです。そんなことをしているひまがあるのなら、徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をするほうが大切です。

自分をなくして初めて、何かが見つかるのです。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P133

自分に焦点があるうちはダメなんですね。

個性のかたまりである著者がこんなことを言うなんて、意外でした。

それから、もう1つ心に残ったことが。

著者は無理してでも「不自然体」でいることを心掛けている、ということです。

なぜなら、自然体では仕事が来ないからです。

興味を持ってもらってなんぼ、だからですね。

第4章 子供の趣味と大人の仕事~仏像

仏像

第4章では、著者の子どものころからの「仏像」好きが、どのように仕事になっていったのかをモデルケースとして紹介しています。

  • 仏像スクラップ
  • 「見仏記」の開始
  • 「大日本仏像連合」結成
  • 「仏画ブーム」到来
  • 「阿修羅展」という事件
  • 仏像大使に任命

みうらさんは、はじめは怪獣にハマっていましたが、怪獣では博士になれないから、とライバルのいない仏像にシフトチェンジします。

一時的に仏像から離れることがありましたが、仏像大使に任命されるまでに。

それは、子どものころからの「好きの貯金」があったから。

言うは易いですが、やり続けることが大切なのです。

何かを好きになるというのは、自分を徐々に洗脳して、長く時間をかけて修行をして、対象のことを深く知ってからでないと、長続きもしないし、人を説得することもできないということです。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P152

少し知ったからといって簡単に好きと言ってはいけない、とも言っています。

ずっとずっと追いかけ続けているもの、誰にも負けないくらいの知識を持ってからでないと、本当に好きとは言えない。

ここで私は、子どものころからずっと好きでハマっているものってあったかな、と考えてみました。

ざきざき
ざきざき

考えなきゃいけない時点でもう、、、ですね(;^_^A

変わらず好きなものは「読書」と「歴史」です。

でも突き詰めるのではなく広く浅くなので、好きとは言えませんね。

みなさんにもし子どものころからずっと好きで、追いかけ続けたものがありましたら、「ない仕事」ができるかもしれませんよ。

最後に

2021年本屋大賞発掘部門の超発掘本!に選ばれた『「ない仕事」の作り方』について述べてきました。

最後に、まえがきにあるグッとくる言葉を紹介したいと思います。

どんな仕事であれ、「やりたいこと」と「やらねばならぬこと」の間で葛藤することが多いと思われます。

それは私も同じです。

そこで肝心なのは、そのときに「自分ありき」ではなくて、「自分をなくす」ほど、我を忘れて夢中になって取り組んでみることです。

新しいことはそこから生まれます。

引用:『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』(みうら じゅん 著)電子書籍P6

『「ない仕事」の作り方』をまだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてください。

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同じく超発掘本!に選ばれた井上夢人さんの『プラスティック』もおすすめです。

ぜひ合わせてご覧ください。

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