【感想】本屋大賞2位『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

本屋大賞
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この記事では、2007年本屋大賞第2位となった森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を紹介します。

黒髪の乙女である大学の後輩に恋する先輩の物語です。

登場人物がどの人も変わっていて面白い!

昔テレビ番組であった「動物奇想天外」ならぬ「人間奇想天外」といった感じで、愛すべき人間たちの物語とも言えます。

クスっと笑ったりニヤニヤしたり、軽く現実逃避したい人に打ってつけのこの本を読んだ感想をまとめました。

ぜひ参考にしていただければ幸いです。

見出し
  • 軽い恋の話を読みたい人
  • 今までに読んだことのないような本を読みたい人
  • さわやかな感動を味わいたい人

『夜は短い歩けよ乙女』について

タイトル夜は短し歩けよ乙女
著者森見登美彦
出版社角川文庫
発行日2006年11月29日
ページ数282P(電子書籍)

この本の構成は次のとおりとなっています。

  • 第1章 夜は短し歩けよ乙女
  • 第2章 深海魚たち
  • 第3章 御都合主義者かく語りき
  • 第4章 魔風邪恋風邪

以上4編が収録された連作短編集です。

言葉遣いが堅苦しくて、難しい本なのかなと思っちゃいますよね。

でも難しい言葉遣いが気にならないほど、物語の魅力に夢中になること間違いなしです。

ざきざき
ざきざき

知らない言葉も出てきましたが、だいたいこんな意味なんじゃないか、で読み進めて大丈夫でした!

著者について

著者であり森見登美彦さんのプロフィールです。

1979(昭和54)年、奈良県生れ。京都大学農学部大学院修士課程修了。2003(平成15)年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。

2007年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。

2010年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。

ほかの著書に『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』『有頂天家族』『美女と竹林』『恋文の技術』『宵山万華鏡』『四畳半王国見聞録』『聖なる怠け者の冒険』『有頂天家族 二代目の帰朝』『夜行』『太陽と乙女』『熱帯』がある。

引用:新潮社公式HP

著者の作品を読んだのは、本作品が初めてでした。

今までに読んだことのない作風で、実に面白かったです!

発想が私のような凡人のはるか上をいく、雲の上の作家さんだと思いました。

見どころ

あらゆるところで意中の彼女の目にとまる、という外堀を埋める作戦に徹する先輩の思いは彼女に届くのか

そしてこの2人を含め、変わった登場人物たちが見どころです。

『恋は短し歩けよ乙女』を読んだ感想

それでは本作品を読んだ感想を各編ごとに簡単に述べていきます。

第1章 夜は短し歩けよ乙女

乾杯する女性

大学のクラブの先輩の結婚式に、恋する後輩も同席していた。
後輩は2次会には参加せず帰ったので、後をついていってみることに。
その晩に起きる奇妙な出会いと摩訶不思議な出来事の物語。

先輩の視点、後輩の視点が交互に入れ替わります。

それぞれの話が交差していき、世間は狭いを地で行く物語です。

え、さっきの人ここで出てくる?

こう繋がってたんだ!の連続といった感じで。

それから、そんなこと起きる!?という驚きも。

例えば、、、先輩が暴漢に襲われズボンと下着を取られ、あわや公然わいせつ罪に(;^_^A

男性のズボンを脱がすなんてなかなかできることじゃないですよね。

そして、登場人物の思考もいちいち面白い。

彼女が後輩として入部してきて以来、すすんで彼女の後塵を拝し、その後ろ姿を見つめに見つめて数ヶ月、もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威といわれる男だ

引用:『夜は短し歩けよ乙女』(著 森見登美彦)電子書籍P69

彼女の後ろ姿を追いかけ続けているんですよね。

世界的権威って(笑)

先輩だけでなく後輩の彼女の思考もなかなかです。

お酒をおごってもらって、人生のいい話を聞かせてくれたとしても、胸を揉んできた時点で、それ目的か!と思いますよね。

でも彼女はそう思わないんです。

お人よしすぎます。

いろんな変な人たちが出てきますが、嫌な感じはありません。

むしろ変人っぷりを清々しく感じました

第2章 深海魚たち

深海魚たち

意中の後輩が行くことを聞いた先輩は、自分も古本市に行くことに。
見つけた彼女の方へ行こうとした矢先、ソフトクリームを持った男の子とぶつかってしまう。
しぶしぶソフトクリームを弁償したが、その後も男の子は先輩についてきて、彼女探しが難航する。

第1章では、超お金持ちで高利貸しの李白さんと彼女の飲み比べが繰り広げられました。

第2章では、その李白さんが借金のカタの取り上げた本を売る、李白さん主催の売り立て会が行われることに。

売ると言ってもお金ではなくて、李白さんが与える試練を勝ち抜いたものが目当ての本をゲットできるというもの。

出品されている本の中に、彼女が欲しがっている絵本を見つけた先輩は、ゲットするために奮闘します。

与えられる試練は「暑さと辛さ

暑い部屋で、厚いものを着込んで、火鍋をつつき合う。

大の大人が、、、くだらないと言ってしまえばそれまでですが、本気で命懸けで戦うのが面白いです。

そして、よくこんなこと考えつくなぁと著者を尊敬しました。

想像していたのとは違うラストにはなりましたが、頑張っていれば少しは報われることもあるんだと希望もあり、スッキリ爽快な気持ちになりました。

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本作品は電子書籍でも読むことができます。電子書籍を専用リーダーで読むようにしてから、目が疲れなくて読書が楽ちんになりました。

第3章 御都合主義者かく語りき

学園祭

第3章の舞台は学園祭。
彼女が行くことを知った先輩は学園祭に行ってみることに。
友達である事務局長のところに行くと、2大問題が起きているとのこと。
「韋駄天コタツ」と「偏屈王」だ。

「韋駄天コタツ」はあちこちに出没して、コタツに誘い鍋を振舞う。

「偏屈王」は、構内あちこちの路上で突然断片的に上演されるゲリラ演劇のこと。

この勝手な振舞いを止めようと事務局長は追っていた。

またしてもくだらないなぁと思いながら読み進めて、でもラストには爽やかな感動すら覚える

何と言う物語だろう、こんな本初めてです。

第4章 魔風邪恋風邪

風邪で熱が出た女の子

たちの悪い風邪がはやり、次々と寝込んでいく。
彼女はそんな人たちのお見舞いをして回っていた。
事務局長のお見舞いに行った人たちから広がっていったので、事務局長から始まったと思われたが、実は李白さんから始まる李白風邪だった。

季節はどんどん変わっていきますが、相変わらず彼女の目にとまる作戦で外堀を埋めることに徹している先輩。

その先輩もいよいよ風邪にかかり、熱でうなされます。

そのときに、自分は本当に彼女が好きなのか。

性欲ではないのか、大学に行けば彼女ができるものといった風潮に影響をうけているだけではないか、などなど考えてしまいます。

ですが、、、

私は性欲に流される、私は世の風潮に抗えない、私は一人の淋しさに耐えられない──さまざまな思いが胸に去来したが、それらはやがて儚く消えてしまい、ただ微かに潤んで輝く彼女の瞳と、その小さく囁くような声と、美しい頰の印象だけが残った。

引用:『夜は短し歩けよ乙女』(著 森見登美彦)電子書籍P272

これは本当に彼女のことが好きだと言っていいですよね。

こんな風に思われてみたいと思ってしまいました。

そして彼女は、

私たちは数日に一度は、奇遇で出逢う仲なのです。

こんなに長い間会わないのは珍しいことです。私は心配になりました。

引用:『夜は短し歩けよ乙女』(著 森見登美彦)電子書籍P249

奇遇で出逢うと思っていることは、置いといて、、、

先輩の作戦は効果があったようです。

希望が持てますよね。

恋に慣れていない初々しい2人と、変人といっていいほどのすべての登場人物。

くだらないところはありながら、感動もさせてくれて、読者も不思議体験ができる物語でした。

最後に

2007年本屋大賞第2位となった森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』を紹介しました。

軽い気持ちで読めるのに感動できる不思議な物語です。

まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください。

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本作品はアニメ映画になっています。

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