この記事では、2023年本屋大賞ノミネート作品『宙ごはん』町田そのこ著を紹介します。
料理を食べて元気になったり、癒された経験はありますか?
誰もがこれを食べたら元気が出る!という料理があると思います。
『宙ごはん』は主人公の宙(そら)が幼稚園から大人になるまでの物語です。
要所要所に、人を癒す料理が出てきます。
第5話までありますが、1話1話涙が出ますので、泣ける本を探している人にもピッタリ。
本を読んだ感想をまとめましたので、興味のある人は参考にしていただけたら幸いです。
『宙ごはん』について
タイトル | 宙ごはん |
著者 | 町田そのこ |
出版社 | 小学館 |
発行日 | 2022年5月27日 |
『宙ごはん』は2023年本屋大賞の第8位を獲得しています。
本屋さんに勤めている人たちがおススメする本なんですね。
著者について
著者である町田そのこさんのプロフィールです。
- 1980(昭和55)年生れ。福岡県在住。
- 2016年「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞
- 2021年「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞。
- 他に作品に「ぎょらん」(新潮社)、「うつくしが丘の不幸の家」(東京創元社)などがある。
2021年「52ヘルツのクジラたち」で本屋大賞を受賞されています。
私はまだ読んでいないので、読んでみたいと思いました。
見どころ
家庭環境の複雑な宙(そら)の成長と母親との関係、悩みなど。
でもいつも助けてくれる人がいます。
そして節目節目に料理が出てきて、悩み苦しんでいる人を癒します。
人の温かさと料理のすごさを感じられるところが見どころです。
各話のあらすじと感想
第5話までそれぞれの簡単なあらすじと感想をまとめました。
ふわふわパンケーキのイチゴジャム添え
“母親”になれる人だけが子供を産むわけではない。
親に愛されて可愛がられた経験がない人は、どうやって子供を愛したらいいか、可愛がればいいかわからない。と佐伯(花野をずっと好きな後輩)は言うけど、そうでしょうか?
一見それで納得できそうな気がしたけど、自分が子供の時に寂しかったこと、こうしてほしいと思ったことがあるはず。
自分がしてもらいたかったように、してあげればいいのではないかと思ってしまいました。
かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん
宙と同じように母親のことで悩み、寂しさを味わっていたマリーの言葉が深い。
母親と思って期待しないで、家族と思えばいい。
家族としての義務は果たしてくれている。
私も母に愛されませんでした。母の愛は弟だけに注がれていました。
私にもマリーのような友達がいたら、子供時代はもっと違ったものになっていたのに、と思いました。
母親像というものにこだわって期待していると、苦しむだけなんですよね。
あなたのための、きのこのとろとろポタージュ
宙と鉄太のやりとりから、自分の気持ちをきちんと相手に伝えることが大切だと思いました。
自分の気持ちに気づけないと、相手に誤解されるような行動をとってしまって、関係を修復できなくなったりします。
自分がどう思ってどうしたいのか、どうして欲しいのか、自分の本心に向き合うこと。
それを相手にきちんと伝えて、相手の気持ちにも向きあうことが、より深い関係になるために大事なことなんですね。
思い出とぱらぱらレタスチャーハン
見えるところで判断して思い込んでしまうということはよくあります。
裏があるということに思考が及びません。
それで相手や状況を良く思ってしまったり、逆に悪く思ってしまったり。
何年も経ってから、あれはこういうことだったのではないかと気づいたりしますね。
相手や状況を判断するときには、見えるところが全てではないことを忘れないようにしたいと思いました。
ふわふわパンケーキは永遠に心をめぐる
第4話までも涙するところがたくさんありましたが、第5話は心をえぐられる悲しい話でした。
悩んだり傷ついたりした経験があるから、同じように悩んだり傷ついている人に寄り添い共感し助けることができる。
悩んだり傷ついたことは、人のためになることで無駄にはならないんですね。
渦中にいる間は、本当に苦しいですけど。
そして一人で苦しまないで、周りの人に話して助けを求めること。
人の助けを借りながら、自分の中で昇華して立ち上がる。
立ち上がったら、今度は同じように苦しんでいる人を助けてあげる。
そうやって助け合って生きていくのが人間なんだと思いました。
最後まで読んだ感想
人との関係も状況もずっと同じではないんですね。
1話と5話では宙と花野の関係は、全く違うものになっていました。
だから今が辛くても悲観しすぎなくていいし、 うまくいっていない関係でもずっとそのままとは限らない。 絶望することはないんですね。
この本では、人を励まし心を癒すアイテムとして料理が出てきます。
温かいおいしい料理、しかも自分のために用意してくれた料理は、とても心に沁みます。
いつも作ってもらった料理を食べていると、当たり前になって感謝の気持ちがなくなったりします。
でも料理って食べてくれる相手のことを考えながら作るんですよね。
だから作ってもらった料理はおいしいのだと思います。
私も誰かのために心のこもった料理を作りたいと思いました。
まとめ
『宙ごはん』という本について紹介してきました。
この本は、母と子、家族、人間関係について考えさせられるとともに、人の温かさや料理のすばらしさを教えてくれます。
興味を持って下さった方は、ぜひ読んでみてください。
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